TCB jeans 50’s jeans – 赤い羽BLOG

NO IMAGE

TCB jeans 50’s jeans – 赤い羽BLOG

先々月デニミオに訪問した際に、TCBジーンズという日本のデニムブランドの50’sジーンズを購入。
TCBジーンズはデニムの聖地となる岡山で2007年スタートという、比較的新しい部類のブランドで
全国での取り扱いは専門店に限られている為、神奈川県でしっかりと扱っているのはデニミオぐらい。
現在履き込んでいるジーンズの洗濯のタイミングと、今年の夏の再延長的な気候の兼ね合いから
入手からしばらく経ったけど切り替え時が来たということで、ようやく下ろすこととなった。

tcbjeans.stores.jp
 

TCBの50’sは復刻系ジーンズでは王道となる、1950年代のリーバイス501XXを再現したモデル。
投稿時点の定価は税込み22400円、最初から糊を落としたワンウォッシュのみの展開。
ジーンズが労働者の作業着だった時代の名残りのある、腿から裾へと幅を持たせたシルエットで
ジャストサイズでエンジニアブーツやペコスを合わせても、裾がストンと落ちてくれる。
 

右が今回購入したTCBの50’s、左が10代の頃に購入した本家リーバイスが501XXを復刻したモデルで
中央がそれぞれの元となるヴィンテージの501XX、細かく言うとギャラ入りの50年代後半頃の個体。
自分がファッションに夢中だった、10代や20代の頃のスタイルへと益々回帰していることから
いっそジーンズも王道モデルを新調して、イチから履いて育ててみたくなった次第。
ちなみにどれもウエストは似たサイズ感だけど、太さはヴィンテージ<バレンシア<TCBの順。
※自分の501XXが細いのは16工場製のせいなのか、その時代特有の曖昧な作りだと思われる。

 

50年代のXXに関する定義は色々とあるけど、トップボタン横に切り返されたV字ステッチと
バックポケットの補強として、表側からは見えない様に取り付けられた隠しリベットが代表的。
V字ステッチの感覚は職人に委ねられるらしく、TCBみたいに細かったり曲がっていたりとか様々で
1960年代頃まで返し縫いが出来るミシンが無かった為、こういう風に仕上げていたんだとか。
履き込むとあまり分からなくなるけど、イエローとオレンジのステッチの使い分けが良い感じ。
 

13.5オンスのジンバブエコットンの生地は、そこまで凹凸感は無くてムラ感も比較的抑えめ。
毛羽立ちも少なく不快なゴワつきも感じないので、最初から馴染んでいる感覚がある。
いつも履いている14.5オンスのジーンズに比べると、かなり軽くなった様に思う。

リーバイスをトレースしているとのことで当然目新しさは無いけど、ざっくりと全体を見て行く。
50年代モデルらしく股上はやや深めで、お尻から腰をしっかり包み込む感じが妙に新鮮。
サイズや個体差もあるけど、古い年代はフロントのベルトループの間隔が狭い様な印象を受ける。
 

バックポケットにステッチなどは入っていないので、パッチを見なければTCBと分からない。
バックスタイルのヨーク部分みたいに、パッカリングが集中している箇所はいつも見入ってしまう。

 

バックポケットの形状は左右対称ではなく、中央から左側(反対は右側)が1㎝ほど長い。
ベースとなったジーンズが歪な形状だったのか、ここはTCBがこだわっていそうな気がする。
リーバイスが基準とする仕様はおそらく左右対称だと思うけど、裁断や縫製する職人次第だったり
年代やモデル毎に微妙な形状の違いがあって、どのジーンズもそれぞれ個性的で面白い部分。
 

旧時代の赤タブはレーヨン素材が使われていた為、洗濯するとくるりと丸まってしまう。
60年代頃からは丸まりにくい素材に変更となってしまうので、地味ながらも年代に忠実な作り。
 

紙パッチにはTCBのマスコットキャラでもある、リアルな二匹の猫のプリントが入る。
TCBには「Taking care of business」の「仕事を大事にする」「おまかせください」のアメリカ的表現と
創設時に二匹の猫を飼っていたことから「Two Cats Brand」という、意味が込められているとのこと。
近年はこのデザインに変わったこともあって、より後者の意味合いが強くなっているそうだ。
 

トップボタンとフライボタンには、それぞれブランド名の「TWO CATS BRAND」が入り
更に「OKJ」の岡山日本という、この三文字だけで岡山産デニム作りへの誇りを感じる。
若干錆びた感じの良い風合いになっているのは撮影するまで気が付かなかった。
 

現在では主流の被せるタイプのリベットではなく、古い時代の仕様の打ち抜きタイプという
ドーナツ状のパーツをT字のパーツで貫通させている為、この様に生地がはみ出ている。
表側には何も刻印が入らないけど、裏側には「UNIVERSAL」ということでYKK社製の物。
 

一応1950年代の紙パッチであれば、ベルトループが中央からずれるのが鉄則であるはずが
理由に関しては分からないけれど、TCBの50’sはずれずにしっかりと乗せて縫ってある。
この箇所はとても分厚くなる為、慎重に縫わなくてはならないので生産スピードの改善を図り
1950年代半ば~60年代半ばまでの10年ほどは、上の様にずらして縫っていたと言われている。
ベルトループ自体も所有するヴィンテージと比べると、少し細い物が採用されている様子。

 

ポケットの補強の為に取り付けてある隠しリベットは、1960年代半ばまで続くディテール。
元々は外側に貫通していたところ、家具などを傷付けるとして表面から出ない様に考えられ
後にミシンの向上や技術的なことから廃止されるが、実は補強の効果があまりないらしい。
リベット使いにこだわって残していたとも考えられ、現在はヴィンテージを再現する為の仕様。
 

左のヴィンテージと中央にあるTCBの耳の幅は細めで、右のバレンシア復刻はかなり広め。
ヴィンテージに関しては個体差が大きいけど、50年代の501XXの耳は細めが多いという印象。
この耳の少し膨らんだ部分が絶妙に作用して、表側に縁どった色落ちが生まれるという仕組みで
耳のアタリは自分がヴィンテージジーンズにハマる、一番のきっかけとなったところ。

 

もちろん裾上げはボコボコと波打つ様に、ユニオンスペシャルで仕上げて貰った。
元々洗いの掛かった全体のパッカリングと馴染ませる為、裾部分だけ熱湯で濡らしてから
ドライヤーの熱風で乾燥させて、裾のアタリがより出やすくなる様にしておいてある。

 

コインポケットに耳があるということは、生地目が向こう布と同方向になるのでイナズマは入らない。
今回のTCBジーンズみたいな国産復刻ジーンズでは、コインポケットに耳使いの仕様が一般的だけど
元々はデニム生地の余ったスペースから裁断される為、耳に当たるかどうかはランダムだったらしい。

 

1950年代辺りの代表的なディテールをざっくりと見ると大体こんな感じだろうか。
いつも深く考えずにジーンズを履いているから、パーツ名や単語が出て来なかったりとか
ヴィンテージ特有のディテールを結構忘れていたので、復習する良いきっかけにもなった。
 

このTCB50’sジーンズの目標は、左のジーンズの様な迫力のある風合いに育てること。
今の所は洗濯頻度を抑える為、秋から春までの期間に絞って着用しようと思っているので
左に近付けるには何年掛かるか分からないけど、変化して行く姿をのんびり楽しもうと思う。

続きを見る

ファッションカテゴリの最新記事