原料は何でも天然系。 – 化粧品研究者こまっきーの語り部屋

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原料は何でも天然系。 – 化粧品研究者こまっきーの語り部屋

化粧品こまっきーとして自社ブランドの販売を行いながら、OEMもしています。独立する前は化粧品OEMの研究所で働いていて、独立してもその時のお客さんが声をかけてきてくれるので、時々プロデュースもやっています。
OEMをしていると、様々な依頼で化粧品を作ることがありますが、その時に不思議なのが“天然系”というワードです。

“天然系”の化粧品が作りたい。という依頼には、必ず“鉱物系”フリーにしてほしいと言われます。化粧品で使われる“鉱物系”には、ワセリン、ミネラルオイル、ラウレス系の活性剤などがあります。
鉱物油とは石油系のことで、石油は化石燃料とも言われ、地下の油田から発掘される油で、間違いなく“天然系”です。

次に多いのが“シリコーン”フリーです。シリコーンは天然由来のケイ石と天然ガス由来のメタノールを使って、合成された物質です。つまり、シリコーンも天然の原料を使っているのですが、ケイ石もメタノールも“鉱物系”ということで“天然系”では無くなっています。

合成していることがダメなのではないか?と思うかもしれませんが、“天然系”とに含まれるオリーブオイルはオリーブの実を潰して水と油に分けて、精製しています。潰して分けて精製する過程では機械を使って抽出しています。同じ“天然系”であるはずの“鉱物系”は“天然系”に当てはまらないのに、機械を使うことは“天然系”に当てはまるというのはおかしな話です。

他にもエステルオイルというオイルがあり、エステルオイルも“天然系”由来の成分だけにしてほしい。と言われることがあります。
エステルオイルとは、スキンケアでよく見かける“パルミチン酸エチルヘキシル”のような成分で、2つの原料をかけ合わせて、1つの成分が作られます。植物と植物のかけ合わせ、植物と鉱物のかけ合わせ、鉱物と鉱物のかけ合わせがあります。
“天然系”化粧品の依頼の際は、その中でも“鉱物系”の成分を使ったエステルオイルは入れないで欲しいと言われますが、エステルオイルという掛け合わせの合成は“天然系”に含まれて、“鉱物系”は“天然系”に含まれないのはおかしな話です。

合成洗剤は合成というワードで悪いものだというイメージがあります。
合成洗剤は“鉱物系”から作られますが、合成洗剤と言われていないアミノ酸系の活性剤も、石鹸の原料も合成しないと作られません。
どれも合成して作っているのですが、“鉱物系”だけ合成洗剤と言われてイメージが悪くなっています。

つまり、化粧品の原料は全て“天然系”由来です。
天然の成分を活用して、化粧品原料は作られています。

「つまり“天然系”じゃなくて、“植物系”にしたらいいってことやろ?そんな細かいこと気にせんでええやんか。」そう思うかもしれませんが、“天然系”の間違ったイメージによって、良いものが悪いものにされてしまっているなら、このことを考えなくてはいけません。
“天然系”の成分を“天然系”じゃない成分となって、悪者扱いされることで、消費者が安全性の高い成分を使えなくなるなら、誤解は解くべきでしょう。
安全性が高く、安価な成分を使うことに抵抗が出て、無意味に高いものに手を出してしまうような仕組みになっているなら、その仕組みは改善するべきでしょう。

化粧品がなぜこんなにもイメージが先行されるようになったのかは分かりませんが、化粧品は衣服よりも身体に密着し浸透するアイテムです。
ファッションみたいに扱うものではないでしょう。
“天然系”と“植物系“を一緒の意味にしてはいけないと思います。

化粧品研究者こまっきー

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