ヒルドイド、自己負担増額の責任は誰のもの? – 闇医者Blog

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ヒルドイドの自己負担額増のニュースが話題になっています。

今回は、そんな先発薬「ヒルドイド(ヘパリン類似物質製剤)」に関するお話です。

ヒルドイドの自己負担額の引き上げについて

ジェネリック医薬品(後発薬)がある特許切れの先発薬について、2024年10月から自己負担額が引き上がります。

先発薬には渦中の保湿剤「ヒルドイド」の他に、インフルエンザ治療薬「タミフル」、胃腸薬「ガスター」、抗アレルギー薬「アレグラ」など1095品目が含まれます。

ヒルドイドだけではありません。

元々、この自己負担額増は「後発薬の使用促進」を名目に行われています。

「後発品の使用促進」は「医療費の削減」に繋がります。

先発薬「ヒルドイド」と比較して、後発薬「ビーソフテン」の薬価は約1/3になります。

国民皆保険制度により、3割負担であれば、7割には税金が使われるので、それだけ医療費の削減効果が期待できます。

したがって、美容目的であれ、処方を希望する人は後発薬を選択すればいいと思います。

というか、市販にも売ってますので、自己負担で購入して下さい。

 

先発薬が高価な理由は、研究開発に膨大な資金が投入されているからです。

研究にはめちゃくちゃお金がかかります。

泣きたくなるくらい研究費が足りなくなるので、研究費対策の本が売られるくらいです。

日本の研究費については話が逸れてしまいますので、またいつか泣

また、先発薬を使用すべき人がいます。

それは、ドーピング検査のあるアスリートです。

薬剤中の成分が引っかかる場合があるので、基本的には先発薬が良いと思います。

 

我々一般人は、基本的には後発薬で十分です。

「医療費の削減」を意識している患者さんがどれだけいるか分かりませんが、この記事がきっかけになれば幸いに存じます。

ここまでのお話は、ヒルドイドの自己負担増額は「後発品の使用促進」と「医療費の削減」が目的であるということです。

続いてお話しする「ヒルドイド」の不適切処方とは切り離して考える必要があります。

 

ヒルドイドの美容目的等の不適切処方について

医療系情報サイトm3調べによると、美容目的に「ヒルドイド」処方を求められた経験がある医師は、開業医(n=261)で40.6%、勤務医(n=698)で34.5%とされています。

この不適切処方に対しては、2017年にヘパリン類似物質製剤(ヒルドイドなど)の美容目的処方等に関連した「保湿剤処方の適正化」の政策提言が行われています。

この背景には、20歳〜54歳女性におけるヘパリン類似物質製剤の処方数が男性の5倍以上の増加があります。

原因は、「美容アイテムとしてのヒルドイドの流行」などが挙げられます。

厚生労働省が各種薬剤の処方算定数を取りまとめている「NDBオープンデータ」というものがあり、大泉らは、第3,4,5回NDBオープンデータの「薬剤データ」から外用剤の「外来」処方算定数を集計しています。

その結果が以下になります。

NDBオープンデータまとめ

処方の上位30薬剤は、ほぼ保湿剤「ヒルドイド=ヘパリン類似物質製剤」です。

2017年の政策提言で各社が声明などを発表しておりますが、効果はなかったようです。

しかしながら、当初の「後発品の使用促進」の目的に対しては、ある程度効果があったようです。

この結果を見ても、今回の自己負担増額はしょうがないのかなという印象です。

 

ここからは個人的な見解になります。

私自身は不適切処方を求められたことがあります。

「最近、肌が荒れるから保湿剤をお願いします。ヒルドイドです。」と20代女性から頼まれました。

いや、分かりますよ。20代でも肌は荒れますもんね。

けど、どこが荒れてるんですか?

てか、ヒルドイドってお薬知ってるの?

と、笑顔の裏で考えながら、「肌荒れは皮膚科の先生に相談して下さいね」と告げました。

「やっぱり出せないですよね〜」とワンチャン狙っていたようです。

悪質な例では、小児の医療費が無償であることを利用して、余分に処方をしてもらうという例もあるようです。

また、多くの場合、「他院では処方されたことがある」という理由で処方を希望されるようです。

正直、医療費とかを度外視すれば、患者さんの希望通りに処方するのが一番儲かります。

美容目的ではないという証明=病名を記載すれば、医師の判断で処方は可能だからです。

処方を希望する患者側にも問題がありますが、処方する医師にも問題があると思います。

業界のネットワークでは、薬を出しまくる病院/クリニックは名が知られています。

反対に、真っ当な医師が適切な対応をとった場合は、口コミで悪評がつくのは容易に想像できるでしょう。

なんともやりきれないですね。

 

また、このような現状には重大な懸念点があります。

それは、重大な疾患や慢性疾患を持つ患者に対する影響や、医療へのアクセスの公平性について検討する必要があるということです。

本来必要な患者さんが不利益を被るということです。

昨今の子育て支援金や裏金問題に加えて、このような自己負担増額の話題が出ると、無慈悲だと感じますよね。

正直ものが割りを食う世の中感がハンパないですね。

 

ご意見、ご感想や間違いのご指摘をお待ちしております。

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おしまい。

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