印象に残っている人⑩ー① – 福祉サラリーマンの職ランダムウォーカー

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印象に残っている人⑩ー① – 福祉サラリーマンの職ランダムウォーカー

地域包括支援センターで勤務していた時に関わっていた方です。

本人は90代の女性です。もともと東京に家族で住んでいたのですが、夫と子どもを亡くしており、現在はふるさとの弟(私の担当地域に住んでいる)を頼って転居してこられ、弟宅近くの市営住宅に1人暮らしをしています。要介護状態等区分は要支援1で、私は前任の退職に伴い引き継いだ形で担当となりました。本人は腰痛があり買い物と調理と掃除が十分にできなかったため、訪問介護ホームヘルパー)を週に一度利用していました。ヘルパーの方が本人と一緒に片付けてはくれますが、自宅内は物が多く本人が探し物をするため、衣類や食べ物が床に散らかっている状況です。何度か訪問していると本人より「ヘルパーが物を盗っていく」との話しが聞かれました。ヘルパーの事業所ともやり取りを行ったところ、おそらく本人の被害妄想ではないかという結論になりましたが、相性が悪いことも考えられるため担当者を変更してもらうことにしました。それでも状況は変わらず物を盗られるという訴えが続いたため、本人の希望もありヘルパーの事業所を変更してみる、ということになりました。

次の事業所には事前に今までの状況を説明し、担当者も「なるべく詳細に記録を残すようにします」と言ってくれ、訪問時の様子と何を片付けたかを本人に確認しながら掃除に取り組んでくれました。しかし2か月ほどすると本人より「やっぱり物を盗られるし、大事な物まで捨てていくの」という言葉が聞かれました。事業所に確認すると「そんなことはない」と水掛け論の状態になってしまいましたが、やはり本人の被害妄想ではないかという結論になりました。その後本人とも話し合った結果、ヘルパーの利用を中止することにしました。買い物はどうするかについては、スーパーに電話して配達してもらう方法をとりました。実際に本人に電話してもらい口頭での伝達とスーパー側の配達が可能ということがわかったため、しばらく介護サービスは利用せずに過ごしてみることにしました。その後は2か月に1回くらい訪問するようにしていましたが、本人からは「自分の自由にできているからいいわ。物を盗られることもなくなったし」との言葉が聞かれ、現状に満足している様子でした。

本人は年金収入があることと、証券会社に電話し株の取引きを行っていると話しており、お金にはあまり困っていない様子でした。自身のノートに株価を記載しており、数十年取引き経験があると言っていました。普段から「私はお金もあるし持ち物もいい物ばかり。周りの人に対しても施してきたから、年を取って困っているときに恩返しされるのは当然」と話すような人でした。

つづく

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